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公益財団法人 NEC C&C財団

 

2006年度C&C賞受賞者

Group A

坂村健博士

坂村 健 博士
Dr. Ken Sakamura
東京大学大学院情報学環教授
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 所長
Professor, Interfaculty Initiative in Information Studies,
Graduate School of the University of Tokyo Director, YRP Ubiquitous Networking Laboratory



業績記

実時間動作を重視した基本ソフトウェアTRON*を提唱して開発し、技術情報の公開により誰でも利用でき、そして展開させることが可能なオープン・アーキテクチャーの概念によって発展させると共に、組み込み制御システムとして世界に普及させ、どこでもコンピュータの利用が可能な環境(ユビキタス・コンピューティング)の実現に向けた活用によりコンピュータ利用の新たな展開をもたらした業績

*TRON
:The Real-Time Operating System Nucleus

業績記補足

坂村健博士は、実時間性を重視し、コンピュータを動作させる基本的なソフトウェアの集まりであるオペーレーティングシステムTRONを開発し世の中に普及させました。TRONは、The Real-Time Operating System Nucleus の略語で、日常の現象に追従して応答できる実時間性つまりリアルタイム性を重視しており、コンピュータを機械に組み込むことを想定して開発されたシステムです。この開発においては、関連するあらゆる技術情報を公開することで、誰でもその情報を手にすることができるだけでなく、開発の一翼を担ったり、開発成果を共有財産として、誰でも自由に活用したりすることができる仕組みがとられました。このような、いわゆる「オープン・アーキテクチャー」の考えを提唱、実践したことが、TRON普及の大きな推進力となりました。TRONは車のエンジンの制御、携帯電話の電波の制御、デジカメをはじめとして、数多くの機械に組み込まれてきたことからわかるように、組み込みシステムあるいは組み込みコンピュータの性能向上に実績を残し高く評価されてきました。更に近年では、いつでもどこでもコンピュータの恩恵に与かれるユビキタス社会を実現していく上で必須の制御システムとしても展開されており、坂村博士の先見性と卓越した実行力がC&C分野におけるコンピュータ利用の新たな展開をもたらしたと評価されます。