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公益財団法人 NEC C&C財団

 

2006年度C&C賞受賞者

Group B

ロバート H. デナード博士

ロバート H. デナード博士
Dr. Robert H. Dennard
IBMフェロー
IBM Fellow



業績記

近年の情報機器で重要な位置を占める半導体集積回路の一つであるランダムアクセスメモリDRAM*の基本的な構成と方式を開発し、更にMOS**型トランジスタのスケーリング則(微細化規範原理)を提言することにより、今日の情報化社会の発展に多大の貢献をした業績

*DRAM
: Dynamic Random Access Memory
**MOS
: Metal Oxide Semiconductor

業績記補足

ロバート H. デナード博士は一つのトランジスタと一つのキャパシタで記憶セルとなる半導体集積回路メモリ、いわゆるDRAMの基本的な構成と方式を開発しました。このDRAMでは、記憶セルが碁盤の目のように配置され、それぞれの記憶セルに交差して繋がるビット線 (横方向)とワード線(縦方向)が配線されます。ここでワード線に電圧を印加すると同時に、ビット線を選択することにより、碁盤の目の一つにデータを自由に書き込んだり、読み出したりすることが可能となります。このランダム・アクセス型の半導体集積回路メモリ-は、コンピュータやデジタル通信など、今日の情報機器に広く使われる半導体製品となっています。また、同博士は、MOS型トランジスタの基本素子を小さくすることによりDRAMの高密度・大容量化が実現できることに着目し、トランジスタ素子を縮小していく場合のスケーリング則、即ち微細化していく場合の規範原理を共同研究者らと導出し、その有効性を実証しました。微細化に伴い、性能向上、低消費電力化、低コスト化が可能であるという洞察は、半導体集積回路の将来に対する明るい見通しを与えました。また同時に、微細化による物理的な限界を予め予見できることから、多くのブレークスルー技術を生みだす元となり、今日までMOS型トランジスタの縮小化、即ち、記憶容量の大容量化を継続できた理由の一つとなっています。デナード博士の一連の業績は半導体集積回路の発展の礎となっただけでなく、今日の情報化社会の発展に大きく貢献したことが高く評価されました。