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公益財団法人 NEC C&C財団

 

2010年度C&C賞受賞者

Group B

リーナス トーバルズ博士

リーナス トーバルズ博士
Dr. Linus Torvalds
リナックス財団 フェロー



業績記

Linuxカーネルの開発とオープンな基本ソフトウェア開発モデルの提唱

業績記補足

Linus Torvalds博士は、長年利用されてきたUNIXとの互換機能を持つオペレーティングシステム(OS)としてLinuxを1991年に開発し、これを公開することにより、誰でも自由に活用できる新しい基本ソフトウェア開発モデルを確立しました。このようなオープンソース化により、LinuxはパーソナルコンピュータのOSとしての発展だけでなく、携帯電話や家電などの組込み機器からスーパーコンピュータに至るまで、幅広い情報機器に採用され、今日の情報機器の発展・普及に大きく貢献しました。

1991年、フィンランドのヘルシンキ大学在学中だったTovalds博士は、パーソナルコンピュータ上で動き、UNIXと互換機能を有するOSとしてLinuxを開発しました。当時、UNIXは高価なワークステーションやミニコンピュータ上で用いられる高価なソフトウェアでしたが、Torvalds博士は安価なパーソナルコンピュータ上で動作するソフトウェアを開発し、世間に大きな影響をもたらしました。当時、パーソナルコンピュータ用のUNIXに似せたOSとしてMinixがありましたが、教育用機能に限られていました。開発当初のLinuxは極めて単純なシステムでしたが、これをオープンソースソフトウェアとして公開して、誰でも自由に利用・改良可能としたことにより、Linuxの改良が進みUNIXと遜色のないOSへと発展しました。このように、Tovalds博士の貢献は、オープンソースソフトウェアとしてプログラムを公開し、多くの人達がその改良に参加するという、極めて新しいプログラム開発形態を生み出した点にあります。また、ソフトウェアだけでなく、ネットワークサポート、ユーティリティなどをまとめたパッケージ化を行い、利用者のニーズに合わせて正しく容易にインストールできる配布方式を確立するとともに、LinuxカーネルとしてOSの統一性を損なわずに世界的に普及させることに成功しました。

Linuxは、現在、パーソナルコンピュータや小中規模ネットワークサーバのOSとして世界で広く利用されている他、小型情報機器である携帯電話や家電などの組み込み機器から、メインフレームやスーパーコンピュータのような大型情報機器に至るまで、幅広く使われております。最近では、多くのスマートフォンにも採用され、今後の新しい携帯端末のOSとしての更なる発展が期待されています。

このように、Linus Tovalds博士が開発したLinuxは、公開時以来、多くの情報機器へ広く導入され、世界の情報産業や教育・研究機関の活性化、さらに我々の生活の利便性向上にも多大なる影響をもたらしていることから、C&C賞の受賞者に相応しいと評価しました。