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公益財団法人 NEC C&C財団

 

2008年度C&C賞受賞者

Group A

相磯 秀夫 博士

相磯 秀夫 博士
Dr. Hideo Aiso
東京工科大学 理事(前学長)
慶應義塾大学 名誉教授



業績記

「計算機システムの研究開発により計算機産業の育成と発展に寄与した貢献、ならびに情報通信技術分野において学際領域を開拓し、教育・研究の向上に尽くした功績」

業績記補足

相磯秀夫博士は1950年代後半、電気試験所電子部のトランジスタ計算機の研究開発に関する研究プロジェクトに参加し、実用全トランジスタ計算機、電試マークIV(ETL Mark IV)の基本論理回路の設計を担当しました。同氏に与えられた課題は、高価なトランジスタを極力節約した基本回路を考案することでしたが、同氏はパルス技術を駆使して、1本のトランジスタによるダイナミック型基本回路を考案し、動作の安定性と実用性を実証しました。電試マークIVは1957年秋に稼動を開始しました。電気試験所は計算機の国産化に意欲的な企業に対し技術指導と技術移転を行い、同氏はその任にあたって計算機産業の基幹創りに貢献されました。また、その後、計算機の高機能化・高速化・大型化・実用化に取組み、電試マークV・電試マークVIなどの研究開発に中心的な役割を果たしました。

相磯博士は1971年に大学に籍を移し、その後も一貫して並列処理・分散処理・適応処理・連想処理・特殊機能処理などに関連する広範な計算機アーキテクチャに関する研究に従事し、優れた業績を挙げ、今日この分野で活躍している多くの有能な学者・研究者・技術者を育成しました。また、第5世代コンピュータ・スーパーコンピュータ・情報処理相互運用システムなどの国家プロジェクトの推進委員長として積極的な貢献をされ、1970年代から1980年代を通して計算機アーキテクチャ分野のオピニオンリーダとして活躍されました。

1990年代には、同氏は先端情報通信技術の視点から諸学問を横断的にとらえ、未来社会の構築と新しい文化の創造に寄与する“情報学”ならびに“メディア学”の創設と大学の斬新な教育・研究のあり方や情報環境の整備に関する重要な知見と示唆を残されました。

以上、当財団は相磯秀夫博士による黎明期の計算機研究開発とその実用化・商用化、計算機アーキテクチャを中心とした先駆的な研究と人材育成、次世代計算機に関する国家プロジェクトの推進、先端情報通信技術を基盤とした裾野の広い新しい大学・大学院の教育・研究の実現などが、C&C技術の発展と情報社会の進展に大きな貢献をされたと高く評価しました。