English | アクセス | お問い合わせ

公益財団法人 NEC C&C財団

2023年度C&C賞表彰式典


(写真1)C&C賞表彰式典会場


(写真2)新野理事長


(写真3)徳田英幸審査委員長

2023年11月29日、ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)にて、2023年度 C&C賞表彰式典を執り行いました。式典会場(写真1)には78名が出席、そして、33名がオンライン視聴しました。

式典は午後3時から、新野理事長による開会の挨拶で始まりました(写真2)。挨拶のなかで、財団の主要な活動が紹介され、C&C賞は1985年の表彰開始から今年で39回目を迎え、過去77グループ122名の受賞者を輩出し、後にノーベル賞を受賞した方もいることが報告されました。次に、徳田英幸審査委員長から、C&C賞選考経緯と受賞2グループの発表がありました(写真3)。グループAの受賞者として、「超伝導量子ビットの実現と量子コンピュータをはじめとする量子情報技術分野への貢献」に対し、理化学研究所 量子コンピュータ研究センター センター長、東京大学 大学院工学研究科 物理工学専攻 教授 中村泰信博士と、東京理科大学 教授、理化学研究所 コンピュータ研究センター チームリーダー 蔡兆申教授、また、グループ Bの受賞者として、「For Major Contributions to the Development of the Python Programming Language and its Use as Open-source Software (プログラミング言語 Python の開発とオープン化への多大な貢献)」に対し、マイクロソフト ディスティングイッシュド エンジニア グイド ヴァンロッサム氏(Guido van Rossum)が選ばれ、それぞれの業績が紹介されました。続いて、C&C賞贈呈に移り、新野理事長から受賞者に表彰状、賞牌と賞金目録が贈呈されました(写真4, 5, 6)。

(写真4)中村泰信博士(右側) (写真5)蔡兆申教授(右側) (写真6)グイド ヴァンロッサム氏(右側)

次に、ご来賓から祝辞を賜りました。経済産業省商務情報政策局 審議官 西村秀隆様からは、受賞者の業績を称えるとともに、量子情報技術やプログラミング言語の技術は、デジタル社会の実現に不可欠なものであり、経済産業省としても受賞者が生み出した成果が幅広い産業の発展や国民生活の向上につながるよう取り組むとのお言葉がありました(写真7)。電子情報通信学会会長 森川博之様のご祝辞では、できないと思っていた量子コンピュータが今では世界的に大きな動きになったこと、Pythonは仕組みやコミュニティーの進め方が素晴らしく、思っていた以上に普及したなど、受賞対象となった成果についての思い出を語り、祝意を表して締めくくりました(写真8)。

(写真7)西村秀隆 経済産業省商務情報政策局審議官 (写真8)森川博之 電子情報通信学会会長

受賞記念講演会では、3人の受賞者にご講演いただきました。中村博士は、「超伝導量子ビットから量子コンピュータへ」と題して、研究内容について講演されました(写真9, 10)。1992年にNECの研究所に入り、蔡教授のチームで単一電子トランジスタの研究を始め、世界で初めて超伝導量子ビットを実現したときには量子コンピュータはスコープになかったが、電気回路上で量子ビットを実現した例として注目を集め、その後、量子コンピュータの研究につながったのは幸運だったと話しました。蔡教授は、研究の背景について講演しました(写真11, 12)。1984年にリチャード ファインマンが講演で「未来のコンピュータは原子となり、量子力学の法則を使っていろいろなことができる」と話すのを理解できなかったが、23年後に自分たちが似たデバイスを作り、とても驚いたこと、1986年に世界で初めてナノエレクトロニクスという名前を付けて研究提案をし、新人1名が後に中村博士であったこと、そして、超伝導や量子回路の歴史と自身の研究の関わりを説明して講演を終えました。続いて、ヴァンロッサム氏が講演し(写真13, 14)、Pythonの歴史と、Pythonの人気の理由でもあるコード記法を説明し、Pythonは数十から数百行の小さなスクリプトを書くための言語だと思っていたが、人々は何千行にも及ぶ Python コードを作成し、AIの世界で非常に人気となったことに驚いたと話しました。そして、Pythonコミュニティーが形成される過程と、健全なコミュニティーを作る方法について話して、講演を終わりました。

(写真9)中村博士の講演(1) (写真10)中村博士の講演(2) (写真11)蔡教授の講演(1)
(写真12)蔡教授の講演(2) (写真13)ヴァンロッサム氏の講演(1) (写真14)ヴァンロッサム氏の講演(2)

受賞講演の後、受賞者を囲んでのカクテルパーティの場が設けられました。歓談は40分程度の短いものではありましたが多数の方にご参加いただき、和やかな雰囲気のなかで、参加者が受賞者にお祝いの言葉を述べ、また参加者同士が懇親を深める交歓の場となりました(写真15, 16, 17)。
式典会場には、中村博士と蔡教授が、超伝導量子ビットを開発したときの装置に使われていた希釈冷凍機が展示され、参加者の関心を引いていました(写真18)。

(写真15)カクテルパーティの様子(1) (写真16)カクテルパーティの様子(2) (写真17)カクテルパーティの様子(3)
(写真18)希釈冷凍機と当時の写真

晩餐会には、受賞者夫妻とご来賓の方々が参加されました(写真19)。新野理事長の開会の挨拶に続き、情報処理学会副会長 松原仁様のスピーチと乾杯の発声で(写真20, 21)、ご歓談しながらのお食事が始まりました。宴の終わりに、受賞者招待者の紹介とご祝辞、受賞者の返礼がありました(写真22, 23, 24)。午後7時45分、和やかな雰囲気のなか、晩餐会はお開きとなりました。

(写真19)晩餐会会場
 
(写真20)情報処理学会 松原仁副会長 (写真21)乾杯
 
(写真22)五神真 理化学研究所理事長(中村博士、蔡教授の招待者)
(写真23)曽根純一 物質・材料機構名誉理事(中村博士、蔡教授の招待者) (写真24)Carol Willing様(ヴァンロッサム様の招待者)

受賞者夫妻記念写真(左から、中村博士夫妻、蔡教授夫妻、新野理事長、ヴァンロッサム夫妻)