2015年度C&C賞受賞者

2015年度C&C賞受賞者が決定しました。
受賞者は次の2グループ4名の方々です。
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グループA
>> グループA 業績詳細
![]() 喜連川 優 教授 東京大学 生産技術研究所 教授 |
業績記
大規模デジタル情報時代に向けた先進的なIT基盤技術に関わる研究開発への先駆的・主導的な貢献
受賞理由
ソーシャルメディアの普及拡大やインターネットをかいした動画の流通など様々な情報が爆発的に拡大する現在、その多様かつ膨大な情報を利活用するいわゆるビッグデータ分析が社会課題の解決に有効と言われています。
喜連川教授は、そのような社会の進展に対応し、データベースシステムの高性能化の研究を一貫して進め、並列処理方式、高速データベースエンジンや演算ハードウェア、高機能ストレージ等の技術発展を国際的に牽引すると共に、実システムの構築を通じてその性能や有効性を実証するなど、データ工学分野での先駆的かつ顕著な研究業績をあげてきました。
また、「情報爆発」とも呼べる大規模デジタル情報時代に顕在化する技術面や制度面の課題を広く予見し、時代の到来に先駆けその解決に向けた産官学のプロジェクトを立ち上げ、同領域の研究開発や産業応用の発展に多大な貢献を果たしてきた国内の代表者でもあります。それらの先駆的・先導的な取り組みは、情報通信技術のみならず我が国の経済や産業界の発展においても多大な貢献を果たすものであり、C&C賞に相応しい業績と考えます。
グループB
>> グループB 業績詳細
![]() マーティン・カサド 博士 ヴイエムウェア フェロー、シニアバイスプレジデント |
![]() ニック・マッケオン 教授 スタンフォード大学 教授 |
![]() スコット・シェンカー 教授 カリフォルニア大学バークレイ校 教授 |
業績記
ネットワーク技術を進化させた先駆的研究と Software-Defined Networking の開発推進における卓越した貢献
受賞理由
今やあらゆる社会活動の根幹であるICTには、社会的要請として、利用環境の変化や要望に迅速に対応する柔軟性や効率性が求められますが、現状のネットワークでは通信装置に物理的な制約が大きいため、これら要求の実現を難しくしています。SDN(Software-Defined Networking)は、データ転送と経路制御の分離によって通信装置のもつ制約を解放し、ソフトウェアによりネットワーク全体の振る舞いを制御する技術やコンセプトの総称です。
SDNは、今日のICTに求められる社会的期待に応え、サーバが多数収容される大規模データセンタにおける低コストで効率的な運用などへの適用を皮切りに、多様で膨大なデータを安全・安定的に流通させるIoT時代のネットワークとして今後の社会インフラの変革をリードする重要な基盤技術となっています。
マーティン・カサド博士、ニック・マッケオン教授、スコット・シェンカー教授の3氏は、SDNの提唱者であり、その実現に係る初期の重要な構成技術の一つである、OpenFlowの発明者でもあります。3名はチームとして、様々なソフトウェアプラットフォームやツールを開発すると共に、オープンソースや研究開発のコミュニティ活動を先導し、大学・研究機関、機器ベンダ、通信キャリア、サービスプロバイダを巻き込んだエコシステムを早期から構築・運営し、SDNの実用化と普及に成功しました。以上3氏の研究活動と普及に至る業績は、既存のIPネットワークが抱える限界を打破するICTインフラのイノベーションであり、C&C賞に相応しいものと考えます。